ガソリンエンジンは、点火プラグに高圧電流を流して火花を発生させ、ガソリンに着火させています。この着火に必要な高圧電流をつくり出し、最適なタイミングで点火プラグに送るのが、イグニッションシステム(点火装置)であり、イグニッションコイルです。
自動車では安全のため、低圧電流が使われますが、着火には1万ボルト以上の高圧電流が必要とされます。そのため、まずは電圧を上げて、高圧電流にする必要があり、この工程を「昇圧」といいます。昇圧には、電気の相互誘導作用を利用します。2つのコイルを並べ、一方のコイル(1次コイル)に電気を流したあと、電流を止めると、直後に一瞬だけもう一方のコイル(2次コイル)に電流が発生。このとき2次コイルの巻き数を1次コイルより多くすると、それに比例して2次コイルに流れる電流の圧力が高くなります。これが相互誘導作用で、この仕組みを利用した昇圧機構がイグニッションコイルなんですね。
普段、滅多にお目にかかることはない部分ですが、エンジンをスムーズに燃焼させるために、とても重要なものです。エンジンの調子が悪いなと感じたら、修理工場などで診てもらうと安心ですね。